更新日:2024年12月23日
4年生1位
偉大な国
ジョイス・サバリ
私が知っている人の中にも良いことをした人はたくさんいますが、私の隣人がしたことは、彼女の年齢や置かれている状況を考えると信じられないことです。私の隣人のグレースは、5番目の子としてキスム *1 で質素な家庭環境に生まれ、すぐにキベラに移り住みましたが、そこではキスムよりも普通の楽な暮らしができると思っていました。キスムでは、すべての人が教育を受けていたわけではありません。お金を持っている裕福な家庭だけが教育を受けることができました。また、多くの人が食べ物と住まいを探していたため、食料を手に入れることも大変でした。キスムでは、人々はあまり熟練していない教
師から教育を受けていたため、ナイロビの教育はキスムよりも高水準でした。
ナイロビでは、グレースはオリンピック小学校で教育を受け始め、教師は皆、グレースが最も素直で礼儀正しい女の子であったため、彼女を評価していました。また彼女の成績は、先生や生徒たちを驚かせました。彼女はいつも「努力は報われる」と言っていたように、勤勉な女の子で、自身のクラスでクラスパーフェクトになりました。学業面では集中力と決断力を発揮し、見事に成功しました。8年生になると、グレースは学業での果敢な取り組みとその成功でよく知られるようになり、キクユの地にある非常に高価な国立学校に入学しました。グレースは謙虚な性格で、彼女の母親は女子学生だけのドリーム
という団体において奨学金を獲得しました。彼女はキクユでとても良い学校に呼ばれました。そこで彼女は、とても裕福な良い家庭と出会いました。彼女はその中に溶け込もうとしましたが、もともと貧しい環境に育ったため、人々は彼女を拒絶し近づかないようにと言ってきました。その学校の仲間はまるで敵のようでしたが、彼女は彼らと友達になれると思っていまた。
グレースは社会に溶け込もうとしましたが、貧しい村の出身であることから拒絶され、罵倒されました。学校の仲間はキベラをスラム街とみなし、そこに住む人々は泥棒だと考えていたのです。しかしグレースは、たとえ社会に馴染めなかったとしても、自分の生い立ちをより良いものにするためにやってきたのだと自信を持っていました。たとえその時はお金持ちでなかったとしても、いつかお金持ちになって、世界中に知られるようになれると確信していました。
グレースは、ありのままの自分を受け入れていました。「確かに私はスラム街の出身だけど、がんばってやっている」と彼女は自分に言い聞かせました。10年生の時、グレースはフットボールの優秀選手として表彰され、その能力にすべての教師がショックを受けました。貧しい少女がこの学校のお金持ちの生徒たち全員にどうやって勝てるというの?」と。彼女は困難に直面しても決してあきらめず、成功するために前向きな情報を心に留めていました。グレースは本当に特別な子でした。
グレースは、先生の言うことをよく聞き、常に勤勉であり、授業にもきちんと出席していました。両親には尊敬の念を払い、スラム街がもたらす悪に手を染めることもありませんでした。スラムの若者たちによくあるドラッグの使用もなく、神を畏れ、多くの女の子をHIV/AIDSやSTDS、早期妊娠といった病気に陥れる性生活には決して関わりを持ちませんでした。グレースはいつも教会に通い、自分と家族が安全で健全であるようにと神に祈っていました。グレースは良い子で学校の多くの女の子たちのお手本になっていました。人々はグレースがとても利発な女の子の一人であることを認識しはじめ、次第に家族のように一緒に時間をすごすようになりました。
グレースは11年生になり、教育を終えるために残すところ1年となりました。彼女が勉強熱心な学生であることを認めた支援者は、彼女に電話を提供してくれました。そこでFacebookやInstagram、Whatsappのアカウントを取得ました。すると突然、彼女の行動が変わり始めました。勉強に集中できなくなり、インターネット中毒になったのです。インターネットは、コミュニケーションや学習のための良いプラットフォームであると同時に、高い中毒性があります。インターネット中毒は、衝動制御障害と言われ、病的なギャンブルに非常に似ています。子どもでも大人でも人は誰でもインターネット中毒になる可能性があり、それが彼らの生活や他の人との関係に影響を及ぼします。
グレースは、インターネットに費やす時間が増え、学校生活における時間管理の問題などの兆候を見せ始め、勉強や睡眠不足などの健康障害のような日常生活に支障をきたすようになりました。また、ネットに接続していない時や、ネット上での活動が妨害されていると感じた時に、家族やスポンサーと衝突するようになったのです。彼女は、現実の世界よりもネットの世界を優先するようになり、ネット上の人間関係に依存することが多くなりました。グレースは、インターネットの利用が減ると落ち込んでしまうようになり、このことが話題になると、彼女は防衛的になり、自分たちは中毒ではないと考えるようになりました。
グレースは、同じようにネット中毒の友人と出会い、その友人たちはネット上でセクスティングをしていましいた。彼女のネット友達は、ショッピングのためのお金を得るために、セクスティングに参加するよう彼女を説得しました。
しかし、彼女はそれを断りました。その後、グレースはネット上の友達を避け始めましたが、彼らはネット上で彼女をいじめたり、脅したり、恐喝してきました。グレースはとても混乱しましたが、チャイルドヘルプライン(116番)を利用していじめっ子たちを通報することにしました。友達を報告することは大変なことでしたが、グレースは密告者と呼ばれながらも、自分のしたことに誇りを持っていました。それによりオンラインの友達をすべて失いました。グレースは今、多くの人にイ
ンスピレーションを与えており、オンライン・アクティヴィストという財団を立ち上げました。そこで彼女は、子どもたちにネット上での保護と安全について指導しています。彼女は「ネット上の子どもの保護は、世界的な問題であり、親や保護者、政府、子どもたちを中心とした組織、などが協力して取り組む必要があります。子どもたちは弱者であり、偉大な国家を築くために保護されなければなりません。」と述べています。
女性として強く生き子どもたちの権利のために闘う彼女の自信に、私は最も勇気づけられました。子どものネットの安全のために、友人を犠牲にし、失うことができる人は、なかなかいません。彼女のような人が世界中にたくさんいることを祈っています。
*1 キスム:ケニア西部にある国内第3の都市