優秀賞

応募者氏名:齋藤 優萌
学校名:美濃加茂高等学校
学年:2年生
題名:思いやり、良心に従う

 「正しい選択」とは何かを考えるとき、杉原さんの行動を思い浮かべます。杉原さんは第二次世界大戦中、迫害されていた人々にビザを発給し、多くの人の命を救いました。困難な状況の中とったこの行動は、杉原さんの、立場や文化の異なる人々に対しても思いやりを持ち、苦しみに寄り添い、共感しようとする人柄があったからこそできたことでしょう。杉原さんの行動は、誰かにとって都合の良い「正しさ」ではなく、人として大切にすべき「思いやり」に基づいた選択だったのだと思います。私は、自分自身の経験を通しても、「他者への共感や思いやりこそが正しい選択を導く鍵になる」と感じています。

 小学生の頃、とある日の放課後に友達と公園で遊んでいたときのことです。突然年下の男の子が遊びに交ざり、私の声が変だと笑われました。私はそれまで自分の声を意識したことはありませんでしたが、その一言をきっかけに、自分の声がずっと嫌いになってしまいました。何気ない言葉が、人の心に深い傷を残すのだと実感した出来事でした。
 その経験以来、私は容姿や特徴をからかう冗談が嫌いになりました。どんなに軽い気持ちで言ったとしても、相手にとっては心に残り続けるかもしれないと知っていたからです。だから、仲の良かった友達がだれかを冗談でからかうような話をしてきても、相手の立場だったらと考えると、私は一緒になって笑うことができませんでした。「どう思われてもいい」と覚悟して、自分の信念に従い、本人が嫌がる冗談を言わないようにしました。その態度が原因だったのか、やがてその友達は私と距離を置くようになりました。正直、当時は寂しく感じました。しかし、それでも自分の選択を後悔はしませんでした。しばらくして、本当に気の合う友達と出会うことができました。お互いに安心して笑い合える関係は、私にとってかけがえのない宝物です。今思えば、あのときの選択こそが「正しい選択」だったのだと思います。
 「正しい選択」とは、誰かに褒められるための選択でも、周囲に合わせるための選択でもありません。重要なのは、相手の立場を想像し、共感し、思いやりを持って行動すること。たとえその道が遠回りだったとしても、最後には人と人をつなぐ大きな力になるのだと思います。
 杉原さんの功績は、遠い時代の出来事に見えるかもしれません。しかし、その根底にある「他者への共感と思いやり」という姿勢は、私たちの身近な生活の中にも通じています。意地悪を言葉にする前、文字を打つ前に一瞬でも「もし自分が相手だったら」と想像してみることが大切です。その小さな選択の積み重ねが、その人の生き方を形づくります。私はこれからも自分にできる正しい選択を一つ一つ重ねていきたいです。自分の信じる「正しさ」を選ぶことができたとき、それは必ず未来につながるのだと、私は信じています。