上場株式等の配当所得等や譲渡所得等については、所得税と個人住民税において異なる課税方式の選択が可能とされてきましたが、金融所得課税は所得税と個人住民税が一体として設計されてきたことなどを踏まえ、公平性の観点から、令和6年度の個人住民税(令和5年分の所得税確定申告)より、課税方式を所得税と一致させる改正がなされました。(令和4年度税制改正)
この改正により、所得税で申告不要を選択した場合は、個人住民税でも申告不要となり、所得税で総合課税および分離課税で申告を行った場合は、個人住民税においても総合課税および分離課税で申告したこととなります。
(所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択することができなくなります。)
所得税で配当所得等や譲渡所得等を申告する場合
所得税で上場株式等の配当所得等や譲渡所得等を確定申告すると、これらの所得は個人住民税でも合計所得金額や総所得金額等に算入されることになります。
非課税判定や扶養控除、配偶者控除の適用、国民健康保険税や後期高齢者医療保険料、介護保険料などの算定、各種行政サービスに影響が出る場合がありますのでご注意ください。
上場株式等の所得等の選択できる課税方式
所得の種類 |
選択できる課税方式 |
上場株式等の配当所得等 |
総合課税 |
申告分離課税 |
申告不要制度 |
上場株式等の譲渡所得等 |
― |
申告分離課税 |
申告不要制度 |
特定公社債等の利子所得等 |
― |
申告分離課税 |
申告不要制度 |
※所得税の確定申告において課税方式(総合課税、分離課税、申告不要)を選択した場合、その後の修正申告等においてその選択を変更することはできません。
詳しくは国税庁のホームページ「確定申告で申告しなかった上場株式等の利子および配当を修正申告により申告することの可否」をご確認ください。
上場株式等の配当所得等
総合課税を選択する場合
個人住民税の税率が10%になり、配当控除が適用されます。
申告したこれらの所得金額が合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
申告分離課税を選択する場合
個人住民税の税率は5%で、あらかじめ特別徴収されている税率と同じです。
上場株式等の譲渡損失を損益通算できます。
申告したこれらの所得金額が、合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
申告不要制度を選択する場合
個人住民税の税率は5%で、特別徴収で課税が終了します。
申告しないため、これらの所得金額が、合計所得金額、総所得金額等に算入されません。また、配当所得の控除の適用もありません。
※ただし、支払いを受ける際に源泉徴収が行われる特定口座に限ります。源泉徴収のない特定口座(簡易口座)や一般口座で受ける上場株式等の配当所得等は申告不要を選択できません。
上場株式等の譲渡所得等・特定公社債等の利子所得等
申告分離課税を選択する場合
個人住民税の税率は5%で、あらかじめ特別徴収されている税率と同じです。
上場株式等の譲渡損失を損益通算できます。
申告したこれらの所得金額が合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
申告不要制度を選択する場合
個人住民税の税率は5%で、特別徴収で課税が終了します。
申告しないため、これらの所得金額が合計所得金額、総所得金額等に算入されません。
また、株式譲渡所得割額の控除の適用もありません。
※ただし、支払いを受ける際に源泉徴収が行われる特定口座に限ります。源泉徴収のない特定口座(簡易口座)や一般口座で受ける上場株式等の配当所得等は申告不要を選択できません。