更新日:2018年12月11日

所得控除とは

  所得控除は、納税者に配偶者や扶養親族があるかどうか、病気や災害などによる出費があるかどうかなどの個人的な事情を考慮して、その納税者の実情に応じた税負担を求めるために、所得金額から差し引くことになっているものです。

  所得控除の種類は次のとおりです。
 雑損控除、医療費控除社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除地震保険料控除障害者控除、寡婦控除、勤労学生控除配偶者控除配偶者特別控除扶養控除基礎控除です。

各控除の概要

雑損控除

  災害または盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。

雑損控除の金額

   次の二つのうちいずれか多い方の金額です。

  1.  (差引損失額)-(総所得金額等)×0.1
    1.  (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
    2. ※差引損失額=損害金額-保険金などにより補てんされる金額

    (注)損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
    なお、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。

    「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し、または除去するために支出した金額などです。

医療費控除

  その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記参照)の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

医療費控除の対象となる金額

  医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
 (実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10万円

※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額となります。

社会保険料控除

  納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者や、その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。

控除できる金額

  控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

小規模企業共済等掛金控除

  納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その掛金の所得控除が受けられます。これを小規模企業共済等掛金控除といいます。

控除できる金額

  控除できる金額は、その年に支払った掛金の全額です。

生命保険料控除

  納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。

控除できる金額

  平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なります。

  1. 新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額
     平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です。
       年間の支払い保険料等       控除額  
        12,000円以下         支払保険料等の全額  
        12,000円超 32,000円以下         支払保険料等×0.5+6,000円  
       32,000円超 56,000円以下      支払保険料等×0.25+14,000円 
      56,000円超    一律28,000円 
  2. 旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額
     平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です。
       年間の支払保険料等       控除額    
        15,000円以下        支払保険料等の全額   
        15,000円超 40,000円以下        支払保険料等×0.5+7,500円   
        40,000円超 70,000円以下        支払保険料等×0.25+17,500円   
       70,000円超        一律35,000円   
  3. 新契約と旧契約の双方に加入している場合の控除額
     新契約と旧契約の双方に加入している場合の新(旧)生命保険料または新(旧)個人年金保険料は、生命保険料または個人年金保険料の別に、次のいずれかを選択して控除額を計算することができます。 
    適用する生命保険料控除   控除額
     新契約のみ生命保険料控除を適用 1に基づき算定した控除額
     旧契約のみ生命保険料控除を適用   2に基づき算定した控除額
    新契約と旧契約の双方について生命保険料控除を適用 1に基づき算定した新契約の控除額と2に基づき算定した旧契約の控除額の合計額(最高28,000円)
    ※生命保険料控除額は、1から3による各控除額の合計額となります。なお、この合計額が70,000円を超える場合には、生命保険料控除額は70,000円となります。

地震保険料控除

  納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを地震保険料控除といいます。
  なお、経過措置として、これまでの損害保険料控除は廃止されますが、平成18年12月末日までに締結した長期損害保険契約「旧長期損害保険料」(保険期間10年以上の満期返戻金がある保険契約で、平成19年1月1日以後に保険についての契約等の変更をしていないもの)に限り、控除の対象となります。

控除できる金額

保険の種類   1年間の支払保険料  地震保険料控除額
 A 地震保険料  50,000円以下  支払った保険料 × 0.5
 50,000円超 一律 25,000円
 B 旧長期損害保険料
 5,000円以下  支払った保険料全額
 5,000円超 15,000円以下  支払った保険料 × 0.5 + 2,500円
 15,000円超 一律 10,000円
 C 両方ある場合    上記AとBで算出した金額の合計
 上限額(25,000円)

障害者控除

  納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。

控除できる金額

  区分 控除額
  障害者
(身体障害者3~6級、療育手帳B級、精神障害者保健福祉手帳2級以下など)   

 26万円

  特別障害者
(身体障害者1・2級、療育手帳A級、精神障害者保健福祉手帳1級など)   

30万円  
   同居特別障害者
(特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方)  
 
53万円   

ひとり親控除

 性別を問わず、離婚した後婚姻していない人、未婚または死別もしくは配偶者の生死が明らかでない人のいずれかに該当し、次に掲げる全ての要件に当てはまる場合は、一定の金額の所得控除を受けることができます。これをひとり親控除といいます。

控除種類 要件 控除額
 ひとり親控除
  1. 生計を一にする子を有すること(総所得金額等が48万円以下)
  2. 合計所得金額が500万円以下であること
  3. 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと
30万円

寡婦控除

  「ひとり親控除」に該当しない人で夫と離婚した後婚姻をしておらず、次に掲げる全ての要件に当てはまる場合は、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを寡婦控除といいます。

控除できる金額


控除種類 要件  控除額 
寡婦控除
  1. 夫と死別、離婚または夫の生死不明な人で、扶養親族を有している場合
  2. 夫と死別または夫の生死不明な人で、前年の合計所得金額が500万円以下の場合
  3. 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと
26万円

勤労学生控除

 納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます。

控除できる金額

控除種類

要件  控除額
 勤労学生控除 学生・生徒で、前年の合計所得金額が75万円以下で、そのうち、給与所得以外の所得が10万円以下である場合
 26万円

配偶者控除

  納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます。控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

    (1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)
  1. (2) 納税者と生計を一にしていること。
    (3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること。
     (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
    (4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
  2. なお、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

控除できる金額

  控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額、および控除対象配偶者の年齢により次の表のとおりになります。

控除を受ける納税義務者本人の合計所得金額   控除額
 一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者 (※)
 900万円以下 33万円 38万円 
 900万円超950万円以下 22万円  26万円 
 900万円超1,000万円以下 11万円 13万円 

(※)老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。

配偶者特別控除

  配偶者に48万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。 なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。

控除できる金額

  控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額および配偶者の合計所得金額に応じて次の表のようになります。

      配偶者の合計所得金額
   (配偶者の収入が給与所得のみの場合の給与収入 金額) 

控除を受ける納税者本人の合計所得金額

(給与所得のみの場合の給与収入金額)

 900万円以下 
(1,120万円以下)

 900万円超
950万円以下
 
(1,120万円超
1,170万円以下)

950万円超
1,000万円以下
 
(1,170万円超
1,220万円以下)

 48万円超 95万円以下 
(103万円超 150万円以下)
 33万円  22万円  11万円
 95万円超 100万円以下
(150万円超 155万円以下)
 33万円  22万円  11万円
 100万円超 105万円以下
(155万円超 160万円以下)
 31万円  21万円  11万円
 105万円超 110万円以下
(160万円超 166万7,999円以下)
 26万円  18万円  9万円
 110万円超 115万円以下
166万7,999円超 175万1,999円以下
 21万円  14万円  7万円
 115万円超 120万円以下
(175万1,999円超 183万1,999円以下
 16万円  11万円  6万円
 120万円超 125万円以下
183万1,999円超 190万3,999円以下
 11万円  8万円  4万円
 125万円超 130万円以下
190万3,999円超 197万1,999円以下
 6万円  4万円  2万円
 130万円超 133万円以下
197万1,999円超 201万5,999円以下
 3万円

  2万円

 1万円

扶養控除

  納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人で、前年の合計所得金額が48万円以下の人のことを指します。

控除できる金額

  控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により次の表のとおりです。

区分              控除額         
       一般扶養親族(満16歳以上19歳未満)            33万円      
  特定扶養親族(満19歳以上23歳未満)       45万円   
一般扶養親族(満23歳以上70歳未満)       33万円   
 老人扶養親(満70歳以上)       38万円   
 同居老親等扶養親族(満70歳以上で同居している父母等)                45万円   

基礎控除

 総所得金額などから差し引くことができる控除の一つに基礎控除があります。

合計所得金額が2,400万円を超える場合は段階的に減額となり、2,500万円を超える場合は適用されません。

合計所得金額

基礎控除額

2,400万円以下 43万円
2,400万円超~2,450万円以下 29万円
2,450万円超~2,500万円以下 15万円
2,500万円超 適用なし